VRSCは、レーシングマシンVR1000に搭載されていた水冷エンジンを、新しくパワークルーザーというストリートタイプに焼き直したハーレーです。 1990年代に発売されて以来、30年以上に渡って街中をかっこよく乗り回せるハーレーとして人気を博してきましたが、2016年に生産終了となりました。初代のVRSCはタンク部分が赤い色をした目立つ外観でした。その後2001年と2002年に発売されたモデルは、外装がすべてアルミ製のボディという、シンプルかつ強烈なデビューを果たします。発売当時はDOHCエンジン搭載の1131ccで、毎分8500回転115psの強力な出力と軽快なストロークを生み出します。
世界的に有名な自動車メーカーのエンジニアが設計に携わったことで、それまでこだわっていた空冷エンジンから水冷エンジンにチェンジしたといわれています。コンロッドの厚みの幅がシリンダー前後の分だけ少し横にずれているのは、VRSCがこれまでのコンロッド(前後組合せ式)から前後隣り合わせに変えたためです。また、複雑な曲線を描くために、アルミ製のボディも極力溶接を減らすハイドロフォーミング(内部高圧成形)が採用されています。
ただ、アルミの市場価格が高騰したため、2003年には車高を上げたり鉄のフォルムとして発売されましたが、従来のアルミ製のボディの人気には及びませんでした。その後、排気量を1250ccにアップしたり、ライトにLEDを使用するなどの技術改良が行われましたが、2008年以降世界的な経済低迷で販売実績を伸ばすことができなくなり、生産終了することになりました。
現在中古としてしか購入できませんが、他のメーカーから販売されているハーレーと十分張り合える製品で、設計技術や独特なフォルムは業界からも高い評価を得ています。